★“ママ深夜便”のおかしさ。ナーガールジュナ。이십육.veintiséis.

686~711

●中央線快速。
711.2019年10/2 四ツ谷から中央線快速立川行きに乗った。横にいる男が顔をわたしにむけ、ズボンと靴を見た。品定めである。22くらいの高卒ふう。次駅、新宿への走行中、この男は体をわたしにむけ、手にはスマホであった。進行方向に背中をむけてまでそんな体勢をとっていた。人の外相にたいして異様なほどの関心をもっているとみえた。内面は砂漠の男でしかなかった。
 新宿で上の男をふくめてたくさんの人がおりた。右前方のドア脇に女22くらいが入りこんだ。もともと吊り革のほうにいた女である。顔をわたしにむけた。わたしはたまらず反転していく。長椅子の端から二番目か三番目にすわっている女21?が、わたしに顔だけをむけているのがみえた。げーっ。

●人身事故の余波。
710.2016年7月某日 阿佐ヶ谷駅で人身事故がおき、吉祥寺から歩く羽目になった。西荻窪駅にて折しも到着した各停に乗った。快速が動いていない。そのため各停の新宿方面行きは午後なかばすぎにしては込んでいた。立っていた。ほどなく、子連れの――幼児を胸に抱いた――女25くらいがドアガラスのほうを見ていたというのに体のむきを反転させ、わたしへとまともにむけた。そこに映りこむわたしが気になったのにちがいない。わたしは路線図を盾にした。女の顔を見ないようにした。とうとういたたまれなくなり、反転し、そんな女に背中をむけた。するとドア脇にいる女22?がわたしに顔をむけてきた。その目は見ひらかれている。荻窪駅へと近づくと、すわっていた女22?が立った。体を顔をわたしにむけた。どうしようもない。
 新宿スポーツセンター一階にて女38くらいは、こどもふたりを連れていた。そうでありながら――いや、だからこそ――体をわたしへとむけつづけ、かえることがなかった。

ココカラファイン
709.2016年7月某日 女が自転車を押すのをやめてとまっている。40くらい。わたしはそんな女のすぐちかくをすれちがっていくわけにもいかず、すこし離れて歩く。ごほっ。女は口中音をたてた。女を見ると目を見ひらいてわたしを視野にいれていた。
「またやりやがって」
 そういってやった。んっと別異の口中音をやりかえした。
 ココカラファインで洗剤とパラゾールを買う。帰路をとっていると、むこうからきている男45?が顔をまっすぐこちらへむけているのがみえた。45くらい。白マスクの上の目を見ひらいている。わたしは顔を横にして歩いた。このとき、もうひとり男がきていた。60くらい。パチンコの景品交換所からでてきていた。わたしはふたりの男のあいだを歩かざるをえなかった。白マスク男はすれちがいざま、マスクに手をあててごほっごほっと口中音をたてた。マスクをしていることを忘れているしぐさである。愚の骨頂とはこういう行為をする男の存在力の弱さをいう。
 安原顕。有名編集者。亡くなっているその人は、村上春樹の手書きの生原稿をネコババし、古本屋に売ってお金を手にした。それは当の作家に返されてしかるべきものである。
 高校三年生の男子がオートバイの脇で倒れ、死亡していた。20才の自称土木作業員が殺人容疑で逮捕された。供述はこうである。オートバイに追い抜かれた。ガンをつけられたと思い、腹がたった。追いかけて車をぶつけた。
 56才の女が逮捕された。神戸市のスーパーの鮮魚コーナーにゴキブリ十数匹を放った廉である。防犯ビデオの映像が決め手であった。

●ファミマ天沼三丁目店の男。
708.2016年6月某日 その店で買った食べ物のゴミを捨てたかった。ゴミ箱のところに男がいる。スーツ姿、28くらい。正面の青梅街道をむいている。わたしはその男の前をとおってゴミを捨てようとした。そのとき店内からスーツ姿の男28くらいがでてきて、わたしの目の前を横切っていくや、んんんっーと口を鳴らした。男らは仕事仲間であり、わたしにたいして、じゃまだ、どけということだった。そんなところで同僚を待っているかなあ。わたしは憤りを覚えるとともに、口を鳴らした男の心田の貧しさ浅さを思わないではいられなかった。

中野サンプラザ。中野郵便局。二組のカップル。
707.2019年4/21 中野サンプラザの地下一階からでていこうとするとき、ごほっと口中音がとんできた。喫茶コーナーにいる男24?がわたしを見てそうやったのだと思えた。その男はスマホを手にひとりでそこに居つづけている。日曜の夜にいったい何のためにそんなところにいるのか。そこでバイトをする二十代前半くらいの女子大生ふうの女が目当てではないか。高卒のチンピラふうである。
 同夜、中野郵便局へいく。そのうち必要となる切手を買うためである。夜であってもあいている。列にならんだ。局員がふたり、すなわち窓口がふたつあるので順番がすぐにきた。
 となりに中年カップルがいる。大きな荷物をふたつだしていた。男52くらいはわたしに体をむけてきた。わたしをまともに見ている。よくいる類型男だ。わたしは顔をそむけて舌べろをだしてやった。
 むきなおり、ふたたび男のほうへ目をやった。男はもう体のむきを正面にかえていた。舌べろが効いた。だがおのれの所為の愚かさには気づいていないだろう。哲学などしそうにないようすである。
 中野駅から西南方向へ歩いた。女29?が外国人の彼氏30?と歩いている。この女は三叉路へ入っていくとき、建物のガラス窓を見て、映りこむすぐうしろのわたしを見ていた。わたしはその三叉路を避けた。
 このカップルがセブンイレブン中野桃園店へ入っていくではないか。
 欲しいものがあるのでつづいた。
 牛乳、ヨーグルトをとってむきをかえると、ごくちかくにその女がいた。こちらに体をむけている。にやけた顔つきで、あまりにもちかくにいる。彼氏といっしょだからである。男がいるからこその行動をしている。まったくもって類型女である。一定数の女にたいしてのみ範を垂れるような、無思想な定型女である。

●中野の夜。
706.2019年4/20 松屋でカレーを食べていた。カウンターの端、出入口側である。ごちそうさまと、男がいった。離れたところのカウンターで食べおえた男が、店員の東南アジア系外国人、妙齢の女性21くらいにいった。この男はわたしのうしろをとおっていくとき、ごほっと口中音をたてた。わたしは、ううっとやりかえした。男は出入口で立ちどまった。でていけばいいものをでていかない。かぁーっー。痰を切る音をたてた。わたしに対抗した。みえている白髪の具合から55くらいの男にみえた。そのまま店内に痰を吐くのか。思いとどまったようだ。でていく。
 こんな男がいるのか。いるのである。不道徳、不品行をなんとも思わない。ごちそうさま。この男のそれは、店員女性の気をひくためのものだった。好色狒々野郎め。
 かつて新井薬師の寺において柏手をうって参拝した男24?が、わたしをじーっと見て口笛を吹いた。あのときの男と、上記の男は同類である。
 中野サンプラザへいこうと横断歩道の信号待ちをする。林立するビルの一階エレベーター前でうろうろしていると、やってきたカップルの女21?に、うっと口中音を吐きつけられた。この女はわたしを避けようともしていなかった。ずんずんむかってくるばかりであった。
 うわあー、めいわく野郎だあ。前にそう言ってのけた高円寺のカップル女とどこがどうちがうのか。ちがわない。おなじような女や男が大量生産されている。
 サイバック中野店に入ろうと受付の列にならんだ。店員があらわれていない。わたしのすぐ前はカップルである。男29?女23?この女は受付のほうではなく横の彼氏に体をむけている。ずっとこうなのである。自分らのうしろにだれがくるのか気にしていたというわけだ。白マスクで顔を隠したいやな感じの女がいると、わたしは列につく前からわかっていた。〔2019年だから新型コロナ前のこと〕
 店員はまだあらわれない。
 気づくと、女の体がわたしへとむいていた。顔はそむけて、彼氏と何か話している。こういう女である。赤の他人に体をむけ、受付には背中をむけて、何はともあれ彼氏のいる女であることをこれでもかとアピールする。
 彼氏のいる女がのさばっている。
 中野駅南口から西へいくとファミマがある。ゆるゆるとした坂をのぼったところの三叉路に男がいた。23くらい。スマホをしつつこちらへ歩いてきた。
 ごほっ。
 男が口を鳴らした。しらばっくれたような顔をしている。わたしの気づいていないあいだ、こちらを見つづけていたのである。またこんな男だ。
 黄塵の巷にあってわたしがするべきことは・・・・・・

●桃園川緑道。赤いスカート。
705.2019年4/18 道のむこうから女が歩いてきている。57くらい。赤いスカートをはいている。その派手派手しさもあってわたしはついと踵をかえした。元きた道、桃園川緑道へとまがりこんだ。すこし歩いた。もうその女がいなくなったかと思ったとき、ふたたびあの道へいこうと反転した。
 なんとその女が立ちどまっているではないか。緑道と道との交わるところにいた。こちらを見つづけている。避けられた腹いせに、どんなやつかとずっと見ていたのである。見届けようとしていたのである。
 女はわたしがくるのを見て、もどっていく。すぐそこの八百屋の店先に立った。これを見てわたしはまたもどった。こんな女に見られてはたまらない。学知を欠くばかりか一片の宗教心もない。そういう女にみえた。

●俗塵の巷。
704.2019年3/28 高円寺駅の南側はロータリーである。その縁を歩いていた。ごほごほっ。口中音がした。見ると、自転車の女46くらいが前方を右から左へと走っていく。だいだい色のふだん着らしいダウンを着ている。奸邪を気まかせにだしいれするような顔つき。その顔をいちいちわたしにむけ、その目を例によって見ひらいていた。学事、文事をこととしていない。
 路地裏を歩いた。作業着姿の男35?がズボンのポケットに両手をつっこんで歩いている。この男を抜き去ると、ううっと口中音がとんできた。またこんな男がいた。
 ごほっ。
 またも口中音がした。三叉路のむこうと見ると、男がわたしを見ながら歩いていた。56くらい。定業なしといったようすである。
 すっかり日が落ちていた。
 ごほごほっ。
 まただ。見ると、四つ辻を女が右から左へと歩いていく。29くらい。仕事帰りふうである。この瞬間わたしを見てはいなかったが、四つ辻を突っきるときに顔を右へ左へと動かし、わたしがいるとわかったにちがいない。その口中音がなければ、夜目のうえに視力の弱いわたしのことだから、女が歩いていくのを気にはしなかっただろう。またこんな女がいた。
 昧者たる男や女の口鳴らしが、俗塵を存分に俗塵たらしめている。

●ローソン杉並高円寺駅入口店の男。
703.2019年3/25 環七とJRの交わるところにローソンがある。歩道を歩きつつガラス越しに店内をみると、いかにも仕事帰りといったふうの男24くらいが雑誌の立ち読みをしている。ビジネス用の黒いリュックを背負い、スーツにコート、黒靴である。一定の鋳型から寸分たがわずでてきたようにみえた。いやなものを感じないではいられない。個として独立していないのだから、目につく他人にマイナスの働きかけをしそうにみえた。
 食べたカレーの味がまだ口のなかに残留物のごとくあった。それを拭いさりたくてスティックコーヒーを買いたかった。環七のむこうにデイリーストアがある。そちらへいくことも考えたものの、横断歩道を渡るわずらわしさがあり、いやな予感がしながらもローソンに入ることにした。
 あの勤め人男がアイスクリーム売り場へといく。わたしはスティックコーヒーを手に、その男のいないほうへまわった。レジ前に女がいた。34くらい。体をはすにして清算中である。だれが店内に入ってくるのか注視しているというわけだ。
 パンコーナーのところでひとまず時間を稼ぐ。ついでにパンをひとつ手にとった。その女はなかなかおわらない。ひとつしかあいていないレジの順番に外国人の男性30くらいがついた。わたしはそのあとだと思い、そのままパンコーナーにいた。
 女がでていった。中東出身にみえる外国人男性がレジ前についた。わたしは順番待ちのところに立った。と、あの勤め人ふう男がまだアイスクリームのところにいるとわかった。人の動静をうかがいつづけているのである。絶対に先にレジにいかないと決めていたのである。女がよくやることをやってのけていた。
 男は白マスクの上の目をわたしにむけた。アイスクリームどころではない。わたしは外国人男性がおわるのを待つあいだに、うしろをふりむいた。男は場所をかえ、わたしをまともに、まっすぐに見ることのできるところに立って、見るのがきつい角度だというのにいまだアイスクリームを見つづけている。不自然このうえない。
 レジ前につく。男は小走りに順番待ちのマークのところにやってきた。
 くそ男め。
 清算をおえてでていくとき、男がわたしへとなかば顔をむけているのがわかった。出入口の自動ドアにそのようすが映りこんでいるからである。人を見つづけていた。精神生活をしていない男がまたいた。
 このローソン、杉並高円寺駅入口店はJR高架下にあたらしくできた店である。心的な風通しを欠く感じがする。店内に入りこんだら最後、逃げ場がない。

●交番の警察官。 
702.2019年3/24 おとつい青梅街道の歩道を荻窪方面へと歩いていた。交番があり、出入口の前にひとりの警察官が立ち番をしている。顔をわたしにむけつづけている。することがなくて暇そうだ。公務員として給料はそこそこもらっているけれども、心内はうつろであり、物質文明に浸りきっているゆえうつろであることに気づかないといったふうだ。
 ちかづいていきつつ右手を目通りにかかげた。視界をせばめた。指のあいだから、当の警察官が顔をそむけて別のほうを見ているとわかった。わたしはとおりすぎざま、べーっと舌をだしてやった。制服の男は体のむきを、歩いていくわたしにあわせていた。
 右手でパーとやってやった。幾度となくやってやった。

●ファスナーぴしーっ。
701.2020年9/18 28くらいの男が正面にすわっている。その目がしつこい。だからいったんおりて車両をかえようと思った。
 ドア前に人がいる。そのうしろに立った。
 ぴしーっ。
 すわっている女19?がわたしを意識し、バッグのファスナーを音をたててひいた。いやがらせである。まただ。

●杉十小プールの変質者。
700.2020年9/15 杉十小プール更衣室。男65?はベンチに服をおいて、始終わたしをうかがって着替えをしていた。またこんな男がいた。だが、これはまだましだった。
 26くらいの男が素っ裸で、帰りの着替え中のわたしを見にきた。陸上選手が試合後にするようにバスタオルを背中にかけ、両腕をあげている。靴脱ぎ場兼洗面スペースにまできて、鏡にうつるわたしを見ていた。依然として何も身につけていなかった。
 変質者である。ヘンタイ。変態。
 このプールには着替え用の個室がない。他人の着替えを見ようと思えば見放題なのである。

●歩道にテーブル席ってありか。超ミニスカート。高円寺。
699.2020年8/18 高円寺駅南口からみえるところに焼き鳥店がある。ロータリーの角で、一方の側が高円寺通りに面している。酒を飲む客がいっぱいいる。いるといっても店内ではない。歩道にビールケースなどで簡易にテーブル席をつくってあり、そこにあふれるようにいる。違法?不法?警察権力は見て見ぬふりか。高円寺にはこういう店が北口にもある。
 高円寺通りをその店のほうへわたろうと信号を待つことにした。
 ごほっ。
 焼き鳥店の客のかたまりから男が口を鳴らした。信号待ちのわたしにたいしてである。もっともわたしはその店のほうへ体をむけてはいなかった。うろうろしていた。かえって目立ったのだろう。感情を検束しない男がまたいた。
 すぐそこのビルから女があらわれた。20才くらい。超ミニスカートにハイヒール。細身。ふくよかな胸まわり。ビルの何階かにある風俗店で働いているのだろう。この女はわたしに顔をむけ、信号を無視して同通りをわたっていった。わたしが目で追いかけることはなかった。

●関係はエンドレスにつづく。中川潤。
698.2009年11/26 ある58才の女性に33才の独身の娘がいる。この娘は家を離れてひとりで暮らす。
 娘から連絡がきた。おかあさん、彼を助けてあげて、身元引受人になってあげて、と。彼が傷害罪で逮捕されたというのである。
 相談者たる女性は娘の望むとおりにした。やがて彼は裁判で実刑をくらった。
 加藤諦三はいった。
「その男性はヒステリー性格です。きわめて巧妙に人を利用します。その場をつくろう嘘をつくんです。あなたは箱入り娘でしたか」
「はい」
 人をだます人、たちのわるい人は世の中にごまんといる。娘さんはころっとだまされたんです、と加藤はいった。えっと驚かざるをえないことがおきたとき、その時点で身を引かなければならなかったんです。
 彼の保護司は娘にこういった。
「刑務所をでたら彼と結婚してやってくれ」
 加藤は、その保護司もだまされているといった。
 弁護士氏(中川潤)はいった。
「逮捕、拘留、裁判とあって、身柄引受けが発生するのは通常、保釈のときです。実刑をくらったのでは身柄引受けはない」
 彼には前科がある。今度の傷害事件で一発で実刑となった。
 中川氏は次のようにいった。——結婚してやってくれは、余計なお世話である。彼が両親に虐待されたのかどうか。真偽のほどはわからない。説得してわかってくれるような相手ではない。こちらから手紙をだそうものなら、逆上させるだけかもしれない。仮出所で迎えにいたら、あとあと取り返しがつかない。保護司には、結婚する気がないことをはっきりいうべきだ。根比べに負けて折れたら、関係はエンドレスにつづく。
「対応したら相手の要求はエスカレートするんです」と加藤はいった。「このタイプ、人を見抜く力は抜群です」
 人あたりがよくて洗練されて話題が豊富な人。注意してください。生涯を棒にふります。加藤は結尾にそういった。

●女ふたり。セブンイレブン高円寺駅東店。
697.2021年2/24 電車をおりた。改札へとむかった。折から女20くらいがエスカレーターをおりてきて、階段をつかったわたしとならびあうことになった。ごほっ。女が口を鳴らした。またこんな女がいた。
 こんな女がいかないほうへいくつもりだった。女はふだん着であり、交番のむこうの東急ストアに入っていく。
 それでセブンイレブン高円寺駅東店へ入った。牛乳売場に女がいた。21くらい。わたしに顔をむけた。いやな予感がした。女はこちらをうかがっている。買おうとするものはすべて手にしていながら通路の出入口のところにいる。こうしてわたしがどこで何をするのか見ているのである。先にレジへいく気はまったくない。
 レジで会計中、ふりむいてその女をさがした。別の女が順番待ちの先頭にいる。19くらい。人を色めがねでは見ていないとみえた。
 あの女がアイスクリームのボックスをのぞきこんでいる。レジをうかがうに絶好のスポットである。惣菜売場を背に、アイスクリームを見て興味があるふりをしているのである。
 レジ袋を手にふりかえると、この女が列にいる。先頭である。見てやると、目玉だけをそらした。首、体は微動だにしていない。人をうしろから観察しつづける。みずからはうしろから見られないようにする。これを徹頭徹尾やってのけた。人の自己肯定感を踏みつけにすることによってコンビニで地に足をつける。こういう女がまたいた。夜、もうこのコンビニには入らないことにしなければなるまい。

●ペンキ屋。老人がむかってきた。
696.2021年2/26 ひとまず中野駅方面へと細道を歩いていた。ごほっと口中音がした。外装工事中のところからである。ふりむくと、ペンキ屋ふうの男45くらいが体を細道にむけている。しらを切っている。こいつだ。通りがかったわたしを見ていたのも罪だが、口を鳴らしたのは層一層罪深い。またこんな類型男、高卒男がいた。
 むこうから女30?がきていた。T字路でまがっていく。それでわたしはその女をさけて、いつもまがっていくそこをまがらずまっすぐいった。頃合いをみて、もどった。あのペンキ屋がまだこちらへと顔をむけている。わたしはてのひらでパーッとやってやった。
 新井薬師駅をすぎていた。靴ひもがほどけていたので、小路のとば口で小腰をかがめてしばりなおした。ふたたび歩きだすと、道の反対側をいく男23?が顔を真横にむけてわたしを気にしていた。何度もそうやっていた。靴ひもを直すところのわたしを見ていたわけである。
 南長崎へと幅四メートルくらいの道を歩いていた。反対側から男がきていた。眼鏡をかけた70くらい。手ぶら。することもなく歩いているのか。道をななめにまっすぐにわたしにむかってきた。わたしを避けるどころかむかってきた。その凝結ぶりは、ばかもばか、おおばかであることの証憑であった。わたしはこの男の行動を予想していたから、道の上で対峙することになった。平穏に歩くことなど、もはやありえない。

●鳥良商店。サンドラッグの女ふたり。阿佐ヶ谷パールセンター。
695.2021年2/25 鳥良商店の前に男が立っている。30くらい。商店街に入っていくところに仁王立ちである。だからこの男をよけてとおるそのとき、ごほっと男は口を鳴らした。わたしを見つづけていた。高卒まるだしである。 
 サンドラッグで目薬を買いたかった。花粉症対策である。
 通路で目薬を見ているとき、出入口に女57くらいが立っているとわかった。わたしにたいして体を45度にしている。こうしてそこからわたしを見つづけていたのである。うげぇー。
 使用期限がみじかいので買うのはやめにした。
 目がかゆい。それでふたたび同店に寄った。使用期限が2年くらいであっても、どれか買うことにする。ひと箱とって体のむきをかえると、女がいた。53くらい。目を見ひらいてわたしを見ている。美容院でととのえた髪。身なり上等。ななめうしろから人を見つづけていたのである。こんなふうに描写されようとはまるで思っていないのだろう。
 レジにならんだ。これを見届けて、その女はわたしがいたところへいった。わたしが何を買おうとしているのかたしかめるふうである。目的をはたすや、すたすた奥へいった。店の買い物カゴを腕にさげているから薬というよりも日用品めあてであろう。人をこけにする態度をとりつづけていたから、精神生活は皆無である。夫の運んでくるお金という名の経済力のみで生きているとみえた。最初にみかけたあの女も同様である。寂黙とは無縁であり、学知、芸術への造詣、雅量、節度、どれもないのだろう。

●能なしの標本。ファミマ高円寺北3丁目店。
694.2021年2/17 階段をおりていく。ここは比較的静かな住宅地なのに話し声がきこえた。下までおりたとき、三人の男がならんで歩いてきていた。すぐちかくに建築現場があり、そこの作業員である。コンビニでもいくのだろう。ちょうど至近距離になったとき、うっと男のひとりが口を鳴らした。階段をおりてきたわたしのようすを見つづけていたのにちがいない。28くらいにみえた。あとのふたりにわたしは目もくれなかった。社会階層の低さに鬱憤をためこんでいよう。そういうものを学問や芸術、宗教によって昇華させようなどとは考えもしない。そんな連中である。
 高円寺駅から北へいくとパチンコ店がある。だが、閉店になっていた。洗面所をかりられない。それで早稲田通りのファミマに入った。ついでにペットボトルを買うつもりだった。水泳の前に水分をとっておきたいからである。
 個室のなかにいた。
 ううっ。ううっ。
 ドアのすぐむこうで男が口を鳴らした。なかにいるわたしに、早くやれ、早くでろ、という合図のようなものだと覚った。
 あけちゃえ、あけちゃえ。
 別の男がそういったのがドアの板越しにきこえた。前者の男にけしかけたのである。早くしろと命じるも同然のことをする輩がよくいる。ロックがかかっているのにわざとそこをあけにかかるのである。この手合いである。
 ふつうにおえて個室をでた。ちかくに背中をむけている男がいた。この男だ。28くらい。紺色のジャージふうの上下を着ており、上着には黄色いラインが入っている。スポーツジムか介護施設で働いているのか。この男が個室に入っていった。ちかくで働いていそうであり、コンビニトイレをつかう必要ってありか。
 お茶のペットボトルをもってレジへいく。ふたつのレジの一方に、さっきの男と同種のジャージの男がいた。こいつが二人組のひとりである。あけちゃえあけちゃえと吐いたほうだ。財布から小銭ばかりを何枚もだして時間をくっている。もともと感覚がにぶいといわざるをえない。能なしの標本だ。

●NHKR1“ママ深夜便”のおかしさ。山田真貴子。ナーガールジュナ。
693.2021年2/25 第4木曜は憂鬱になる。村上里和という女子アナウンサーが“ママ深夜便”なるものを放送しているからだ。この夜、村上はこういった。ママ深夜便は真夜中の子育て応援団です、と。自身が子育て中の当事者だからである。わたしは悪臭をかがされたような気になった。
 リスナーを限定している。だいいち夜11時すぎて“ママ”たる女が起きているのか。世紀の檮昧愚昧番組である。やるなら、ラジオ第二放送かEテレでやればいい。あるいは半年に一回とか特別番組を組めばいい。
 応援するなら対象は“ママ”ではなく、コロナ時艱で失職した人とか、食費にも事欠く大学生、理不尽にいじめられている小中高生だろう。

 ナーガールジュナは『中論』においてこういう(中村元『龍樹』)。

「〈有り〉というのは常住に執着する偏見であり、〈無し〉というのは断滅を執する偏見である。故に賢者は〈有りということ〉と〈無しということ〉に執着してはならない」
 子育て応援団を標榜するかぎり、村上は賢者から遠い。果てしなく遠い。
 こどもが“ママ”を押しつけられる。たまったものではない。将来こどもからのDVが発現しよう。
 加うるに、山田という内閣広報官もしかりである。この人は学生にむかって、飲み会をことわらない女としてやってきたと啓発するようにいってのけていた。旗をかかげ、それで安倍・菅両首相の偏愛をうけてきている。

●NHKR1ラジオ深夜便の女子アナ。放送の私物化。
692.2021年2/24 安倍晋三。この前首相の妻、安倍昭恵は夫の把持した権力の私物化にあずかった。菅義偉。この現首相の長男は菅が総務大臣のとき秘書官であった。いまは東北新社という会社に勤め、総務省の高級官僚どもらとひとり七万をこえる会食をしていた。むろん利権がらみである。菅による権力の私物化、濫用である。
 これにたいしNHKの私物化をしているのが、ラジオ深夜便の渡辺あゆみ、それに“ママ深夜便”の村上里和である。
 おかあさん、お誕生日おめでとう。これは渡辺が深夜便MCという立場に乗じて公共の電波にのせたものである。母を亡くしている人の神経を逆撫でしている。このまえは、わが家ではと得々といって番組を始めた。
 不妊治療をしてもこどものできない四十代女性がいる。こういう人の神経を逆撫でしているのが、ママたる村上である。その苦悩がわかっていない。こういう番組は民放ではありえないだろう。

まいばすけっと中野三丁目店。
691.2021年2/20 男58?は体を通路にむけて動かない。豆腐をとったわたしを見ている。豆腐を別の種類の豆腐にかえようとするとき、男は、買物カゴのなかで何かの音をさせた。またこんな男がいた。この男はわたしのあとを追ってきた。常に体をわたしにむけていた。
 こんな男を撒いた。男はレジ会計のとき、小銭を何枚もだして時間をくい、買ったものをマイバッグに自分でいれるのにも時間をくっていた。
 レジ待ちの列にいた。ふたつあるレジにはともに客がいた。そのうしろ側、出入口そばに男がいた。45くらい。この男は首をねじって顔だけをレジ待ちの列へとむけている。目はすぐそこの果物類に落としているというわけだ。なんでそんなところに、そんなふうにしているのか。わたしは列の二番目にいた。こんな男の、知慮を欠いていそうな顔を見ることになっていた。その目でなんとなくこちらを警戒している。
 男がレジ会計中の女30くらいの腕にさわった。付き添いでそんなところにいつづけているのだと、このときわかった。醜い顔をさらすようにして、この女が自分のものだといいたかったのにちがいない。バカ男がまたいた。

●せんべい店の男。阿佐ヶ谷。
690.2021年2/19 阿佐ヶ谷駅方面へ旧中杉通りの商店街を歩く。せんべい店がある。男48?白マスクが店番としてすわっている。店主のようだ。その目は伏せられているものの、わたしを見ていたというような感じがした。
 ごほっ。
 その店主?が口を鳴らした。やっぱりこっちを見ていたのである。やりかえすと、またもごほっとやった。客がこなくて、することがなくて、暇なのである。

●猫と小鳥と女ふたり。
689.2021年2/16 小川を埋め立てた緑道がある。そこに猫がいた。毛色は薄茶である。緑道のまんなかにある植込み沿いをちょこちょこ駆けている。小鳥を追いかけているのである。黒い羽の、スズメよりもちいさな鳥が飛びたつことなく、こちらもちょこちょこ逃げている。脚がほそい。猫が右手を草刈り鎌のようにくりだすも、小鳥は逃げた。
 まだ遠い先から女がふたり、ともに二十代前半くらいが、ならんで緑道に入ってきているのがみえた。わたしは猫を見ていたかった。猫のほうへ足をむけた。
 ごほっ。
 その女のひとりが口を鳴らした。わたしが女を目当てにしていると思ったか。バカか。単細胞め。

●森発言。みのもんた。高嶋秀武。増島みどり
688.2021年2/20 ニッポン放送夕方六時からの高嶋さんの番組に、みのもんたが電話出演していた。みのもんた77才。高嶋秀武78才。学年でふたつちがう。みのはパーキンソン病であり、朝、四千歩あるく。広大な家の敷地をあるく。酒好きで40才で?糖尿病になっている。
 妻は66才でなくなっている。みのよりひとつ下である。浮気が露見すると、奥さんは銀行預金をすべてひきだした。納骨はしていない。いっしょに墓に入ろうと思っているからである。妻との思い出の地である鎌倉にいつづけている。世話をしてくれる女性がいる。元銀座のホステスである。こどもたちは東京に住むことをすすめている。
 森喜朗発言について、みのはこういった。ぼくはね、あれは差別でいったんじゃないと思うね。だらだらしゃべっているな、はやくやれという意味でいった。女がどうっていわなければ問題にならなかった、と。
 2/21日曜のNHK日曜討論で、増島みどりはこういった。
「森発言を私は蔑視とは思っていません。差別とは思っていますが」
 男だって発言の長いやつはいるというのである。

●馬鹿のきわみ。高円寺。
687.2021年2/19 環七方面へ細道を歩く。
 んんっー。
 男が口を鳴らした。左のマンション二階からだ。通りがかっているわたしを上からひそかに見つづけ、離れていく瞬間を狙ってそうやったとみえた。
 うううぅーとやりかえした。その建物をふりあおいだ。すでに隠れているのか。姿はみえない。ただしわたしは近眼である。
 内面からっけつゆえに、みえる人にちょっかいをだす。高卒まるだしのばか男である。またこんな男がいた。25くらいか。
 このあと上石神井プールへいった。そこは5分の休憩があるところなので、連続して泳いでいられるように入館時刻を気にした。到着したもののまだ道路にいると、入館していく女68?がこちらに顔をむけ、わたしを見つづけていた。
 プール内は込んでいるほどではなかった。コース内に入ろうというとき、そこに男25?がいた。泳ぎださない。それでわたしはひとまず「戻り」のコースに入った。その男がわたしに顔をむけた。泳ぎださないばかりかわたしを見たのである。何のためにコース内にいるのかと問いたくなった。わたしがそちらのコースに潜っていこうとするとき、男は泳ぎだした。
 上の男、女、男は同臭同気の人たちである。

●立ち読みの女。中杉通り
686.2021年2/18 高円寺駅北口側に書店が二軒ある。日の当たらない店のほうが大きい。そちらに入った。女がいた。48くらい。太りめ。立ち読みをしている。わたしはこの女の目が、わたしを追いかけているのがわかった。立ち読みに溺没などしていない。またこんな女だ。身なりは上等である。会社関係の昼休みか。
 買う目的があってこの書店に入った。18日発売の目あてのもの、これを手にとってレジへとむかった。その女は、わたしがいたところを見ることができる場所に移っていた。立ち読みのふりをしていた。レジ側に背をむけ、わたしを見つづけていたわけである。どんなものを手にしたかも見ていたのだろう。わたしはこういう内面空虚女の餌食になっていたとわかった。
 わたしがレジ会計をおえるや、女はそそくさとわたしから離れ、でていった。この女なりに判定をくだしたというわけである。人や物の市場価値ではなく真の価値を見ようとする。これをてんでやりつけていそうになかった。
 女はわたしの入ってきたほうからでていったから、外のどこかで、でてくるわたしを見ているのかもしれない。わたしは別の出入り口から外にでた。
 阿佐ヶ谷。中杉通りの歩道。男68?は背がたかく、女66?とならんで歩いていた。立ちどまったりしてぶらぶらきていた。ほかにも歩いてきている人がいた。わたしはこの老夫婦?を避けるように右へ寄った。折しも前方からほかのふたりがきていたから、立ちどまらざるをえなかった。
 ばーか。
 その背のたかい男がわたしに首をまわしていった。トラブルを避けずならんできている神経の持ち主である。内面からっぽ男がまたいた。
 何分かのち、このふたりが阿佐ヶ谷駅の高円寺寄りガード下、三菱UFJ銀行の前を、このときもぶらぶら歩いているのがみえた。老いた男が老いた女に顔をむけてしゃべっている。気もちわりぃー。